男の胸毛の脱毛って結構たいへんかも

胸毛を取って彼女とうまくいきそうです

 

僕はもう二〇代最後の年を迎えてしまいました。半年前からつき合っている彼女と結婚したいと思っているのですが、彼女はまだ二一才になったばかりなので、もうしばらく返事を待ってほしいといいます。僕が「医療レーザー脱毛」で胸毛の処理をしたのは、彼女の希望だったからです。 一緒にプールに行ったときに、僕のパラパラと長く伸びた胸毛を見て「気持ち悪い」といったのが事の発端でした。僕はそれまで胸毛を気にしたことがなかったので、彼女の発言はショックでした。もしかして、若い女性はみんな僕のことを気持ち悪い奴と思っているのかもしれない、そんなことまで考えてしまいました。
落ち込んでしまった僕を見てかわいそうに思ったのか、彼女は、

 

「そんなの取っちゃえばいいのよ」

 

と脱毛に関する情報のあれこれを説明してくれました。はじめは、

 

「よくまあ知ってるワ」

 

とそればかり関心していたのですが、聞いているうちに、胸毛がなくても別に困らない、ないほうが若々しい胸になるし、彼女に気持ち悪いなんて思われずにすむなどと思うようになり、本気で脱毛を考えていました。単純な奴と思われそうですが、僕にとっては結構重大な問題でした。「銀座カラー」の電話番号をプッシュしたのは彼女でした。受話器を渡されて、ドギマギしながら予約を入れました。この時点で、迷いが吹っ切れたというか、脱毛をする決心がつきました。当日は彼女が一緒についてきてくれたので、安心したというか逃げられないというか……、とにかく無事に終了しました。小さい頃から元気が取柄で病院とは無縁だった僕にとって、治療室に入るというのは非常に緊張するものがありました。蒼白になってしまったようで、彼女にも看護婦さんにも大丈夫かと何度も聞かれました。治療台の上に横になったときは、 レーザーの機械を見て何をされるのかと思いました。ゴーグルのようなアイプロテクターを装着した先生が、機械に接続されている棒状の部分を手にして胸のあたりに近づけます。「始めますよ」その瞬間は、 レーザー銃で撃たれるような気がしましたが、実際に治療が始まるとなんてことはありませんでした。痛くもなければかゆくもない。拍子抜けしてしまいました。ただ上向きに寝ているだけで、
「はい終りました」
たぶん二〇分ぐらいだったと思います。胸のあたりがほんのり赤みを帯び、胸毛の色が灰色っぱくなっていましたが、治療を受けた痕跡といえば、それだけぞした。当日からシャワーも浴びられましたし、翌日には赤みも消えて、胸毛も知らないうちにパラパラと落ちてしまったようです。スベスベになった僕の胸を見て、彼女は満足しているみたいですし、彼女の気持ちもずいぶんと僕に傾いてきた感じです。これは希望的観測かもしれませんが「イエス」の返事もそう遠くないように思います。